デムパの日記

あるいは「いざ言問はむ都鳥」普及委員会

農地転用の功罪

anhedoniaさん(左思右相)の農地問題は迷宮を読んだ。
僕は件のNHKの番組は見損ねたんだが、いろいろ思うところがあったので書いてみる。

農地の転用に関して一番印象深いのは、大規模なショッピングセンターの建設だ。

農地転用→借地権設定して土地は証券化して売却(土地購入資金回収)→大規模ショッピングセンター建設→
地域の商店街壊滅→テナント料で借地料と建設費の元が取れる→採算悪化を理由にショッピングセンター撤退
(他の店舗に集約)という流れをいくつか見た。

農地を売った農家の方々に責任があると言うつもりはない。
だけど企業の社会的責任というものを考えると、農地を潰してさらに地元商店街を壊滅させたからには、その場所で営業を続ける(努力をする)義務があると思う。

「ずっといるって口約束してたけど採算悪化したから撤退するね。50km離れた所にも店あるからそっち使って」

という姿勢が許されて良いんだろうか?
多数の店舗を次々開店し、地域商店が壊滅したタイミングで撤退して集約して採算性を上げるですと?
最初から計算尽くだったのではないかと疑ってしまいます。
あとに残ったのは、車で遠方に出かけなければ買い物ができなくなった高齢者ですよ。
車の運転ができなくなったらどうするんだろう?

農地を保持しつつ有効に活用するためにには、なにより農業が割に合う職業にならないとダメでしょう。
昔は公務員(特に教員など)の兼業や、専業で農繁期に出稼ぎという皆さんが農業を支えていたが、公務員の大幅な人員削減とバッシング、期間工の雇い止めなどでこのシステムが崩壊してしまった。

長期的には輸入食料の価格が上がるのは間違いないので、国産の価格競争力が上昇する可能性はありますが、肥料などの価格も同時に上がりそうで、国内農産物の価格(農家の利潤)はそれほど上がらないかもしれません。
そうなると単純な経済上の問題ではなく。やはり国家の取り組みとして、公費を投入してでも農家・農業を保護・育成しなければならないでしょう。
以前起きた米不足騒ぎのように、ある意味(諸外国での評判は落としたものの)空騒ぎに終われば良いのですが、温暖化などの気候変動は輸入食料、特に家畜飼料も含めた穀物生産に予測不可能な変動を引き起こすので、長期的な視野に立った食料安全保障政策がますます重要になってきています。
(なお、僕は今騒がれているような温暖化には懐疑的ですが、気候変動の可能性は高いと思っています)

残念なことに今の民主党政権には、農業以外でも長期的な視野は皆無のように見受けられます。
(農家を票田としてしか見ていないし、自民党の集票マシーンだった農協も潰したいのだろう)
しかも判断の実行も遅いので、事態が悪化するのを傍観することになります。

夏の参院選での投票は当然として、他に一個人として何かできることはないのか、非常に悩ましいです。