デムパの日記

あるいは「いざ言問はむ都鳥」普及委員会

似非民主主義との第三種接近遭遇

博士の異常な衝動〜または私はいかにしては同調するのをやめて口論を愛するようになったか〜
昨日の同調圧力と似非民主主義にまつわる寓話。
(これは事実を参考に創作したフィクションです)
(2月22日改訂 差し障りのありそうな部分をぼかしたw)


大学生になりたてのころのことだった。
とある学生組織のブロック研修会(東北、とか関東とかの広域のだ)に参加することになった。
反戦・平和・民主主義を標榜してるアレにきわめて近いアレだ)

前夜の宴席ではいろいろな意見が出たのに、小集団に分けて無駄に多段階の多数決を経ることで、最終的には事務局の望む案が"民主的に"提案され、"満場一致で"採決されるという出来レース。
(しかも各小集団には「政治局員」が配置されていて終始議論をリードする まぁ僕も終始反論したがw)
翌日の全体集会では全体主義的な雰囲気が漂い、異論反論を唱えることすらできない。
Gururi先生の言うところの同調圧力が全開モード。
これが民主集中制というヤツなのか?カルトの洗脳セミナーの間違いじゃないのか?
とかなり怒りを感じたが、さすがに数百人の前で公然と反論を唱えるのは怖かった。←同調圧力w

ところが最後に極めつけのイベントが控えていた。全員で有名講師の講演を聴かされる。
内容は反戦平和主義脳内お花畑系sのトンデモ話(科学的にありえんだろ、それは、って感じだったw)。
さらに講演の最後には自身の主催する募金活動(これが講演内容とは全く関係のないのだ)の紹介が始まり、
「ここまで私の話を聞いてくださった皆さんなら当然賛同していただけるでしょう!」とか言い出す。
脳内お花畑モード、全開!!  かんべんしてくれ...。
正直いって全然賛同できなかったんだが、まぁある意味ネタになる講演を聴かせてもらったから、おひねりくらいくれてやろう思っていたんだ。

ところが、会の終わりに司会者が言い放った一言で頭に血が上ってしまった。

「必ず寄付をしてから退場してください」

これにはさすがに耐えられなかった。出口では事務局が募金箱を持って通せんぼしている。
スタッフに食ってかかる僕。
「募金は自由意志でやるものでしょう!強制するなんて民主主義が聞いてあきれる!」 
いやぁ、僕も若かったなぁw
驚き怒り戸惑う善意のビリーバーたちと、遠巻きになりゆきを見守る参加者たち。
僕は当然のように別室へ拉致された。
殺風景な部屋のパイプ椅子に座らされ、逃げないように監視される。
しばらくしていかにもインテリ風な、冷たい目をした組織の大幹部が現れた。

「彼は私が改心させるから、少し二人で話したい。君たちは席を外してくれたまえ」

立ち去る下っ端戦闘員どもスタッフ。しばし沈黙が訪れる。そして...。

「いやぁ、君の言うとおりだよ あれはちょっと言いすぎだよね ごめんねぇ でもさぁ僕もそれなりの募金集めないと、講師を推薦してきた上(全国の学生組織を統括するトップ)から睨まれるんだよね 僕もつらいんだ〜 気持ちはよ〜っく分かるからさぁ ここは堪えてもらえないかなぁ ホントにごめんねぇ」

なんてことだ、さっきまでの怒りが一気にクールダウンしてしまったじゃないかw
(今の僕なら謝罪と賠償を要求するところだ)
さすが幹部になるだけあって建て前と本音を理解してるし、クレーマーのあしらいもうまい。
(下っ端ビリーバーは建前を本気で信じてるからね、アレは完全に宗教だったな)
越後屋おぬしも悪よのう、なんて感じで学生組織運営のダークサイドとかをおもしろおかしくを聞かせてもらい、ついでにお土産までもらって友好的にお別れしましたw
あのときの大幹部さんは今頃何やってるんだろう?
京大*1の学生だったから一流企業に就職して管理職とかになってるのかな。
それともカルトの全国組織(学生組織の実質的上部団体)の大幹部に上りつめたろうか?


ぼくはその後、同じ大学のビリーバーさん(上級生)と喧嘩を続け、最終的には自主的に退会という形で足抜けした。
今にして思えばもっとずるがしこく立ち回ることもできた気もする。
純真なビリーバーさんにはちょっと悪いことしたかな。
風の噂では大学を中退して、悪の組織の従業員、じゃない営利部門の職員になったと聞いた。
立派な教師になることを夢みていたはずなのに、別の信仰にのめり込んでしまったのか?
(それとも競争率の高さを考えて手堅い就職先を選んだのだろうか?)
その信仰心が報われていると、彼女がそう感じていればいいのだが。

ともかく一生忘れられない貴重な経験だったことだけは確かだ。

*1:たぶん京城帝国大学のことです