デムパの日記

あるいは「いざ言問はむ都鳥」普及委員会

沢水やくみ置きした水を飲む場合の注意

飲み水の安全性については、化学的、微生物学的な点から注意が必要となる。
さしあたって工場排水や生活排水で激しく汚染されているわけではない、比較的きれいな河川水を緊急時に飲用する場合を想定してみた。
イメージで言うと「ヤマメや鮎が釣れる」「プラナリアがいる」河川。
湖沼の場合は有毒な植物プランクトンなどの問題もあるのでここでは除外する。明らかに変な色・臭い・泡立っているような水は、もちろん飲むべきではない。一見何事もないような綺麗な水でも、温泉地や鉱山地帯では有害な重金属(砒素や鉛やカドミウム)に汚染されているところもあるので、最寄り河川の水質についての情報を得ておくことが重要だろう。水質の情報は環境省や都道府県・市町村のウェブサイトを探せば見つかるはず。浄水場の取水地点の情報もあるだろう。取水地点付近の水なら比較的安心だ。
(ただしやむを得ず比較的水質の悪い水を高度な浄水処理で飲み水にしているところもあるので要注意)


・化学的:重金属や農薬など
 今回想定したような河川水の状態ならば、これはほとんど気にする必要は無いと思う。何ヶ月も飲み続けるわけでもないからね。田んぼの用排水路とかは時期によっては農薬の影響が考えられるが、それなりの流量がある河川なら希釈されているだろう。手軽な有害物質の除去には活性炭処理がお勧めだが、何でも除去できるわけではないので注意が必要。活性炭は熱帯魚用のモノなどが市販されているのでそれを流用してもいいが、僕はバルク品を購入する予定。時間と共に空気中のガスを吸着して能力が落ちることが想定されるので、ある程度の期間以上使用しなかったものは熱帯魚に使うとか畑にまくとかすれば無駄にはならない。


・微生物学的:細菌、原虫、ウイルス
 シカやイノシシなどの野生哺乳類が生息しているか、牛豚鶏などの家畜が飼われている地域の下流、あるいは生活排水が流入する流域では、病原性大腸菌などの病原菌、寄生虫や原虫とその卵(アメーバとかクリプトスポリジウムとか)、A型肝炎ウイルスやノロウイルスなんかで汚染されている可能性がある。これらは少量でも病気を引き起こすし、人から人へと伝播する危険もある。
細菌については概ね0.45μmのフィルターで除去できるし、原虫のシストや寄生虫の卵などは細菌よりずっと大きいので、細菌が濾過できるフィルターなら充分だ。通常はこのレベルで充分だが、もっと高度に除去したければ0.22μmのフィルターが必要になる。
 これらに対してウイルスを完全に排除するのは難しい。何しろ小さいからね。普通のフィルターで濾過するのはかなり困難というか、原理的には無理だ。ただし、以下に小さなウイルスとはいえ通常は水中の粒子にくっついていたり、他の微生物の体内にいることが多い。なので実際のところはフィルターで濾過するだけでもそれなりに除去できるとは思う。限外ろ過・逆浸透膜によるろ過ならウイルスを実用レベルで除去することが可能だが、セラミックスや金属のろ過装置と違ってメンテナンスとか圧力とかコストとかの問題が。


 微生物対策として簡単な方法は煮沸することだが、これはけっこうな量の燃料を消費するのが問題。電気が使えたり燃料に余裕があるなら一番お勧めですけどね。


うちでは河川水や雨水を、静置して沈殿を除く→活性炭を投入して攪拌→コーヒーフィルターでろ過→金属フィルターの浄水器でろ過(→必要に応じて煮沸)という処理で飲む事を想定しています。煮沸しないなら動力は全て人力で賄える。こうやって処理した水を保存する場合は次亜塩素酸ナトリウム(食品添加物グレードのもの)を微量添加します。これで重金属以外はだいたいなんとかなるのではないかと。