デムパの日記

あるいは「いざ言問はむ都鳥」普及委員会

大学のビル群

近所の巨大な大学も、このところ学部の移転や大学病院の建替えを含めて各研究科で新しいビルが続々と建てられ、古い建物は少数派になりました。

イベントなどで立ち入った新しいビルは、コンビニや喫茶店が入ってたり、フロアごとにカラーリングが変えてあったり、談話スペースがあったりと、とてもモダンで機能的なんだけど、迷い込んだら出られなくなる(特に夜間)迷宮的なワクワク感が無くてつまらないとも感じるのです。

僕が学生とき世話になった大学では、徹夜実験の待ち時間に校舎を探検していたら階下へ続く謎の階段を見つけて、雨漏りする地下通路を探索しているうちに迷ってしまい、待ち時間がそろそろ終わって実験に戻らないといけないのに自分の居場所がわからず、焦ってドアというドアを片っ端から開けてようやく上への階段を見つけて地上に出ると、そこは隣の隣のビルだったりして、急いで戻って実験して、また次の実験まで探検の続きに出かけるなんてこともありました。

大学院受験の下見に別の巨大な大学を訪ねたときも、敷地が傾斜地だったのと廊下が実験設備や段ボール箱で人がすれ違えないくらい雑然としている上に、節電なのか薄暗くてどこからどこまでが同一ラボなのかもわからないカオス状態だったので、気がつくと別棟の上階にいてびっくり!

遭遇した人達になんども道を尋ねつつ、生物?ここは数学科だよとか、うちは物理だよとか紆余曲折の末、かなり余裕を持って到着したのに約束の時間に遅れてようやく目的の教授室(というか学生のタコ部屋の片隅をご自身の縄張りになさっていました)にたどり着いてまずはお詫び。先生は笑って許してくださいました。

携帯電話とか無い時代だったのでねぇ。

今思えば、道を尋ねた時に内線電話を繋いでもらえば連絡できたんですよね。

自分で思う以上に焦っていたんでしょう。

大学もアメリカ流の「経営」される組織になって、良くも悪くも管理が行き届き、そのぶん自由が削ぎ落とされているようですが、空きスペースに無秩序にビルを建てて既存の建物とは連絡通路で適当に繋ぎ(多少のズレは傾斜通路にして調整)、消防法無視の廊下も実験室兼物置くらいの、無計画で無秩序な「自由」が消えた日本の大学から、世界に誇る成果は果たして生まれるのだろうかと心配になるのです。