デムパの日記

あるいは「いざ言問はむ都鳥」普及委員会

イルカと泳ぎ、イルカを食べる

川端裕人さんのノンフィクション作品が文庫化されてうれしい限り。
図書館でハードカバーを借りて読んだ本とかも文庫で出ると買いたくなる。
ニコチアナとかも買おうかな。
昨日、文庫化されたばかりのこの作品が届いた。

イルカと泳ぎ、イルカを食べる (ちくま文庫)

イルカと泳ぎ、イルカを食べる (ちくま文庫)

小型歯鯨類(よーするにイルカだ)と人との関わりについて、現地取材を通して具体的に語られている。
内容については著者のブログを見ていただきたい。
反捕鯨・捕鯨推進・鯨食文化・水族館での飼育やビーチでのふれあいと餌付けの問題など、多方面から
見た「イルカとぼくらの微妙な関係」が冷静に語られている。
著者のスタンスは「中立」、というよりも結論を出せずにいると正直に語っている。
強引に結論を出すことはせずに、悩ましい現実に対する思いが語られていて好感が持てる。

実はこの作品は以前「イルカとぼくらの微妙な関係」として出版された作品の加筆改題作。
ハードカバーで出た時にはなぜか目に入らず、気がついた時には絶版状態だったようなので、ずっと読みたいと思っていた(今調べたら地元の図書館に入っているようだ)。

今回は2章を削った代わりに新たに「文庫版のための少し長いあとがき」として新章が追加され、最近の「The Cove」問題を取り上げてその後のイルカ漁の推移や鯨肉の水銀汚染などについての解説と現時点での著者の考えが示されている。
イルカ好きな人や捕鯨問題に関心のある人は(賛成反対にかかわらず)ぜひ手にとって見ることをお勧めする。


そしてこの本を紹介する上で欠かせないのがこちら。

クジラを捕って、考えた (徳間文庫)

クジラを捕って、考えた (徳間文庫)

川端氏のノンフィクション中で僕が一番好きな作品の一つ。
残念ながら今は絶版のようだ。
ちくま文庫さんにはぜひこちらも文庫で出してほしい。
(個人的には作中に出てくる外国人カメラマンのその後が知りたいところだ)