デムパの日記

あるいは「いざ言問はむ都鳥」普及委員会

凹凸形の殻に隠された謎

ようやく読了。
確かに「フィールドの生物学」シリーズとしては異色の作品だったが、これはこれでありかな。
筆者の今後の活躍に期待&興味津々にさせられる読後感でした。
この本で取り上げられている生き物は「腕足動物」なのですが、学生時代に動物分類や系統・進化に関わった僕自身「二枚貝に似てるけど体軸がまるで違う別の動物門の生き物で、代表例はシャミセンガイ」という程度の知識しかなく、もちろん化石でも生でも標本でも見たことがありません。
プラナリアや、最近人気急上昇中のクマムシに対してその知名度は比べるべくもありません。
そんな腕足動物ですが、この本を読んで究極的に内向きな生き方に、固着生物に通じる哲学を感じさせてくれる、そんな本でした。
僕イチオシの「右利きのヘビ仮説―追うヘビ、逃げるカタツムリの右と左の共進化 」に比べると、非生物的というかナマモノ感に乏しいのと、研究者の卵の汗とか涙とかの部分がさらっと流されている感じはしましたが、生き物の巧妙さに嬉しい気持ちにさせられた一冊でした。

凹凸形の殻に隠された謎: 腕足動物の化石探訪 (フィールドの生物学)

凹凸形の殻に隠された謎: 腕足動物の化石探訪 (フィールドの生物学)

右利きのヘビ仮説―追うヘビ、逃げるカタツムリの右と左の共進化 (フィールドの生物学)

右利きのヘビ仮説―追うヘビ、逃げるカタツムリの右と左の共進化 (フィールドの生物学)