デムパの日記

あるいは「いざ言問はむ都鳥」普及委員会

新型インフルエンザワクチン(輸入物)の危険性?

すごい与太話が出回っている。
ノバルティスの新型インフルエンザワクチンを接種すると、不妊になるんだそうなw

理由は、使用されているアジュバントがカイロンのペット不妊化ワクチンと類似だからって。


( ゚д゚)ポカーン


某国政府の陰謀で人口を減らすためにわざと使用されてるんだってw
えっとぉ、どこから突っ込んでいいのか...。
まずは「ワクチン」「不妊」で検索してみてください。

ワクチンっていうのは事前に病原体の"一成分"や"殺菌した病原体"を注射しておくことで、その病原体に感染したときに速やかに免疫性が活性化されて病原体を排除させるものです(不活化ワクチン)。
(一部には生ワクチンといって、弱毒化した病原体や病原性の弱い類似の病原体を接種するというやや荒っぽい?ものもありますが、ここではあまり関係ないので除外)

病原体そのものには強烈な免疫誘導作用がありますが、殺したものや成分の一部のみを取り出したものでは、十分な免疫作用が誘導されない場合があります。
そこで使用されるのが「アジュバント」免疫賦活剤とかいわれるものです。

だから、ワクチン=病原体の成分+アジュバント(+防腐剤)です、だいたいは。


つまり、
インフルエンザウイルスの成分+アジュバント=インフルエンザへの免疫
C型肝炎ウイルスの成分+アジュバント=C型肝炎への免疫
動物の妊娠に関するタンパク+アジュバント=妊娠への免疫=不妊化
ということです。
ちなみにアジュバントの主成分はだいたい水と油です。
これにいろいろ成分を添加して、副作用を抑えつつ、良い感じに長期間免疫を活性化するための工夫がされています。

砂糖水は甘い、塩水はしょっぱい、でも、水に味はありませんよね?
不妊化ワクチンの本質は「妊娠に関わるタンパク」で、アジュバントではありません。
このアジュバントを使用して不妊になる可能性は事実上ないでしょう。


もちろん、この与太話と輸入ワクチンの安全性の話は別です。
民族による体質の違いというものは存在するので、アングロサクソンで安全だったものがモンゴロイドで安全とは限らないし、安全性審査の方法や基準が日本とは異なる国もありますから、十分な検討が必要でしょう。
ただ、新型インフルは「今そこにある危機」なわけで、判断に必要な時間は限られています。100%の安全を確保するには、時間は無限に必要です。
難しいですね。


ところで、近年では薬害に対する訴訟の賠償金額が高騰しており、世界有数の製薬会社の屋台骨を揺るがすほどになってきています。
(そのとばっちりで、画期的な新薬の開発がスローダウンしています)
そんな状況で、たとえ国家の情報局や秘密結社の圧力(笑)があったとしても、ワクチンメーカーが危ない橋を渡ると思いますか?
社長が許しても株主が許さないでしょう。

ちなみに、季節性のワクチンを接種するとかえって新型にかかりやすくなるのでは?という、こちらはそれなりに根拠のある疑念がカナダで出されましたが、その後否定されたようです。


今日の結論
牛肉食べても牛になったりしませんからね。
(しかし明治時代並みの科学リテラシーだな)