デムパの日記

あるいは「いざ言問はむ都鳥」普及委員会

日本脳炎ワクチン

去年の6月から、新型の日本脳炎ワクチンが接種できるようになった。
だが、このことはあまり広く知られていない。なぜか?
厚生労働省が、「積極的には接種を勧めるな」と言っていたからだ。
こちらのサイトにとてもわかりやすい解説が出ている"これもまたワクチン行政と言う事で・・・"必読です。

6年前、ワクチン接種との関連が定かでないたった1例の副作用情報で、日本脳炎ワクチンの接種は事実上中止された。
厚生労働省は、接種を控えるように言っただけで中止したわけではないと言い訳するのだろうが、結果として現場では中止命令に近い受け止められ方をしたのは事実だ。
ところが、すぐに接種可能になるはずだった、当時開発中の新型ワクチンの開発と承認が遅れた。
(そのため厚生労働省は、必要と判断される人には同意書を取って接種すべし、とトーンを下げた。これは責任を地方自治体や現場の医師に押しつけただけの(いつも通りの)卑怯な方法だと思う)

この結果、日本脳炎のワクチン接種に5年間のブランクができ、免疫のない子供が大量に発生した。
そして実際に患者も発生した。2009年には7才と1才半の子供が発症している。
(発症した場合の死亡率は約15%、救命できても後遺症が残る可能性も高い)
どちらも年齢からしてワクチン未接種だろう。

話は最初に戻るが、積極的には勧めていない理由は"新型はまだ供給量が少ないから”。
みんなが接種に来るとワクチンが不足して問題が生じるというのだ。
これは事実なんだろう。
でもこれまでの経緯を見ると、厚労省がびびって副作用が出ないか様子を見ている、と思われても仕方がないだろう。

話はこれだけでは終わらない。
新型ワクチンの接種の対象となるのは、一度も旧型ワクチンの接種を受けていない子の第一期接種(計3回)だけなのだ。
日本脳炎のワクチンは、第一期として3回(初回接種、4週以内に追加接種、1年後に追加接種)
第二期として9才頃に1回接種することになっている。
計4回の接種を旧型ワクチンで既に済ませている人はもちろん問題はない。
まだ一度も接種を受けていない子は、新型で第一期は受けられ、とりあえずこれで何とかなる。
問題は、既に1〜2回旧型で接種を受けてしまい、その後の中止で第一期の接種を終えられなかった子供たちだ。
この子たちには十分な免疫ができていない可能性が高い。
いまのところこの子たちには新型ワクチンは接種できない。
安全性が確認されていないという理由だ。
旧型ワクチンを打てば良いのだが、5年前の中止依頼旧型ワクチンは製造されておらず在庫はほぼ底をつき、
さらにその少ない在庫もこの3月9日で使用期限が切れるという。
つまり旧型の接種はほぼ不可能に近いというのだ。
さらにいうと、中止期間中に適用年齢(3才まで)を過ぎてしまった子たちの接種は、全額自費負担だ。

いくら何でもひどい話なので、(費用負担も含めて)経過措置がとられる予定だった。
早ければこの1月にも結論が出て、4月から救済されるはずだった。

ところが...結論先送り...だって。

議論は夏以降に再開することとなり(半年は議論すらしない)、救済は”少なくとも”半年遅れることとなった。
学者先生や官僚は責任取りたくないから少しでも不安があれば結論を先送りしたがる。
これはある意味しかたがない。
彼らに無謬性を求めてきたのはアンチワクチン運動家とマスコミやそれに扇動された市民だ。

こういうときこそ政治決断してほしいのだが...。
いまの民主党政権は、急ぐべき事、じっくり議論すべきことの優先順位が逆転しているから、期待するだけ無駄か。

実はうちの子も端境期だったから、第一期の接種は不完全なのだ。
どっかの医者に旧型の在庫残ってないかなぁ(自費だから結構高くつくんだろうが子供の命には替えられん)。
明日片っ端から電話してみるか。