ワクチンが自閉症の原因だという論文が撤回され、ワクチン原因説の土台が崩壊した話の続き。
Junk Science Kills という記事が American Council on Science and Health のウェブサイトに出た。
もとはNew York Postに投稿されたもののようだ。
ガラクタ科学は殺す とか くず科学が殺す とでも訳せば良いんだろうか。
ジャンクフードのジャンクだ。
サブタイトルは Who'll Apologize to Dead Kids? (だれが死んだ子供たちに詫びるのか?)
これは「ワクチンが自閉症の原因だ」という論文の著者であるDr. Andrew Wakefieldと、その論文の研究手続きや結論に問題があることが早くから指摘されていたにもかかわらず、論文発表から12年経ってようやくこの論文を強制撤回処分にしたThe Lancet誌の編集部、アンチワクチンを煽ったマスコミに対する強烈な批判だ。
この論文が、医学専門誌としては最高の権威であるThe Lancet誌に掲載されたことでワクチン摂取率が急激に低下し、
(激減とはいっても今の日本よりずっと高い数字なんだがorz)それに伴ってワクチンで予防可能な病気で死亡する子供が増加した。
著者13人のうち10名は、結論に誤りがあったとして論文の撤回に同意したんだが、中心人物を含めた2名が同意せず、論文は公式に存在し続け、アンチワクチン運動家のバイブルであり続けた。そして残念ながら撤回された以降もバイブルであり続けるだろう。
なお、この批判文を書いたDr. Elizabeth M. WhelanはAmerican Council on Science and Health(ACSH)の総裁だ。
(ACSHはアメリカの化学業界(製薬業界も含むんだろうな)が組織するNPOです)
だからこの批判文に利害がからんでいる可能性は否定しない(というか、からんでいるのは間違いない)。
でも、彼女は自分がASCHの人間であることを明記してこの発言をしているし、言っていることは至極まっとうだ。
一方Wakefieldは、弁護士から1,000万円もの資金を受け取ってこの研究を行い、さらにそのことを隠していた。
(この弁護士は、ワクチン接種が自閉症の原因だとして集団訴訟を起こしていた親たちの弁護士だった)
さらにその後もアンチワクチン運動がらみの講演会などで数千万円の収入を得ている。
すでにアンチワクチンのビリーバー(あるいは信者)になってしまった人、それからアンチワクチン活動で経済的利益を受けている人々は除いて、それ以外の全ての人々には、ワクチンを接種した場合の利益は接種しなかった場合の不利益を上回ることを知って欲しいと思う。
問題となった論文が撤回されるまでの事件の詳細は忘却からの帰還のLancet が「自閉症とMMRワクチンの関連を示す」論文を撤回したに詳しい。
多くの人にぜひ読んでほしいとおもう。
付記:僕はこの文章を書くにあたり、はてなの無料サービス部分を除いて、経済的な便宜供与をうけていないことをここに宣誓します。
2月20日追記:さらに良くまとまっているサイトを見つけたので紹介します。
MMRワクチンと自閉症の関連を主張したランセット論文が完全に消えました。
自閉症についての情報も豊富です。
ダウン症についてもこんな感じの良いサイトどこかにないでしょうかねぇ。