デムパの日記

あるいは「いざ言問はむ都鳥」普及委員会

学会に関する誤解

研究者の世界には「学会」という団体が存在する。
入ってなくても研究はできるが、関係分野の学会にいくつか入っているのが普通です。
基本的にきちんとした研究者は学会発表だけでなく、その後に審査のある学術雑誌に論文を投稿し、掲載されて初めてまともな研究として認知される。

論文書かずに学会発表だけして、「○○学会で発表!」というネタを新聞に売り込んで記事を書いてもらって、「○○新聞でも取り上げられました!」などと商売に役立てている人は時々見かけますが、多くの学会は入会申込書に入会金と年会費を添えて提出すれば誰でも入会できます。
さらに、会員になれば「学会で発表する権利」がついてきます。
ほとんどの学会では、発表内容に関しての審査はありません。
どんな研究でも好き放題発表できます。

年間一万円程度の会費を払い、発表会への参加費(3千円くらいかな?)と会場までの交通費が都合できるなら、あなたも学会発表できます!内容はどんなものでも大丈夫!
厳しい質問が殺到するか、あるいはあきれられて「バカ」のレッテルを貼られるリスクはありますけどね。
実際にかなり荒唐無稽な発表がされるケースもありますが、いわゆるトンデモさんの口頭発表は怖いもの見たさで黒山の人だかりだったりすることもw 

ちなみに僕が入ってた10くらいの学会で、入会に審査(役員の推薦状とか)があったのは一つだけ。
発表内容の審査があったのは2つだけで、しかもそれは会場の都合で口演とポスター発表を割り振るためのものでした。


"学会で発表した=学会が認めた" ではありません!


これに対して科学論文を載せる、いわゆる学術雑誌の多くは査読(審査)があります。
非常に厳しい雑誌から無いに等しいくらいゆるい雑誌までいろいろありますが、審査が非常に厳しい雑誌は一般的に「一流誌」と呼ばれ、掲載されること自体がステータスで、昇進や研究費獲得に大きく影響します。
ネイチャーやサイエンスなどが代表例ですね。

もし新聞にそれっぽい記事(○○が癌に効くことを発見!とか)が載ってるのを見たら、「○月○日付けの○○雑誌に発表される(された)」という文句があるかどうかを探してみましょう。
もし無いならば、あくまでも一方的な発表であって誰からもお墨付きをもらっていないということです。
もちろんその後きちんと論文を出すケースも少なくないので、判断するにはその後を追跡する必要がありますけどね。